職務、職務資格の設定

会社などの組織(以下「雇用主」)がPERM(Program Electronic Review Management)を使い労働認定証を申請する場合、申請書類提出前の最短で60日間、最長で6ヶ月間、指定地域における米国労働者の雇用市場の調査をする必要があります。この雇用市場調査は雇用主が普段行う人材募集と違い、一番優秀、もしくは最適な人材を探しているのではないということを理解することが重要です。この調査は、アメリカ人もしくはグリーカード保持者などのアメリカで永久に合法就労できる人の中に、「最低条件」を満たしている人材さえも不足していることを証明するのが目的です。

「最低条件」とは職務を遂行する上で最低限必要な、経験、学位、知識、技術などです。要求できる条件は労働局によって複雑に制限されていますので、条件の設定には専門知識が必要です。例えば、会計士の場合、4年以上の経験は必要ないとされています。従って、それ以上の経験を要求すると、なぜ通常以上の経験が必要なのかを証明する証拠書類を提出しないといけなくなり、証拠書類がかなり複雑になります。労働認定証をとおして永住権のスポンサーを受ける方(以下「希望者」)自身が上記の最低条件を満たしていないと、労働認定証の許可が下りても、その希望者は労働認定証の対象外になり永住権がとれないことになります。したがって、労働認定証を準備する際には、希望者自身が「最低条件」を満たしているかどうか確認しておく必要があります。タイミングとしては、労働局への平均給与調査の依頼を行う前に、希望者は「最低条件」を満たしている必要があります。ちなみに、希望者が、永住権のスポンサーをする会社などで働き始めた後に得た知識、経験、学位などが最低条件に含まれていると、その希望者自身が最初に雇用された時点ではその知識、経験、学位がなかったという理由から労働認定証の対象外になりますので、ご注意下さい。

その他「最低条件」のほかに、給料提示額(オファー)を設定する必要があります。オファーとは求人広告に対する応募者に提示する額のことをいいますが、この額は永住権希望者に対して、永住権取得後に雇用主が支払わなくてはいけない最低額と同額になります。もし永住権希望者が現在すでに雇用主のところで雇用されている場合、オファーと現在支払われている給与額が同額である必要はありません。

オファーは最近調査されたリサーチに基づき、勤務先のある地域で、同じような仕事をしている人の平均給料以上でなければいけないと決められています。この規定には不当に安い賃金の外国人労働者の雇用を防ぐ目的があります。労働省が平均給与額のデータのウェブサイトを紹介しており、以下のサイト(Foreign Labor Certification Data Center Online Wage Library (OWL))で調べることが出来ます。ただし、労働省のデータを使用する必要なく、民間のデータもある一定の条件を満たせば使用可能です。

政府の発表している平均給与には、資格、経験などをほとんどもたないエントリー用から高度で複雑な職務もこなせる経験者用まで、経験や技術、資格や学歴などに応じて4段階のレベルがあります。また、平均給料よりも高い額をオファーすることには制限がありません。しかしオファーが高ければ高いほど、必然的に米国の応募者がそのオファーを受ける可能性が高くなります。

更に、雇用主はオファー額を支払う能力"Ability to Pay"を証明する必要があります。一般的に支払能力は純利益、または資産などに基づき審査されます。特殊な状況において上記以外の方法により支払能力を証明することも可能ですが、専門知識が必要ですので慎重に検討する必要があります。支払能力は労働認定証の申請時から永住権希望者が永住権を取得するまで保持している必要があり、能力を証明するにあたり、タックスリターンなどのコピー等を証拠として提出しなくてはなりません。証明資料に関する規定は"ABILITY TO PAY"を参照下さい。