起業家のための新しい滞在資格

Post date: Feb 7, 2017 5:46:22 PM

2017年1月17日に国土安全保障省が雇用の創出や急成長が見込めるビジネスを興す外国人起業家に最長5年間の滞在・就労資格を与える措置を発表しました。この手続きは2017年7月17日より実施されます。

●与えられる滞在資格

  • 初回30か月(2.5年)のParoleステータス*が与えられ、その後条件を満たせばさらに30か月の更新が可能。合計で最長5年間のParoleステータスが与えられる。

  • 扶養家族(配偶者および21歳未満未婚の子供)も同じ期間Paroleステータスが与えられる。

  • 申請者は申請企業のみでの就労が可能。(就労許可書EAD取得は不要)

  • 配偶者に限りEADを取得後、雇用主を問わず米国で就労することが許される。

  • 一つのスタートアップ企業につき最高3人まで申請可能。

*Paroleステータスとは通常のビザステータスとは異なり、仮入国許可であり、通常、緊急時の人道的理由もしくは公共の利益になる重大な理由ながある際に使用される一時的な滞在許可。今回の規則改正により、Paroleを外国人起業家に拡大して適用することとなった。Paroleは正式な滞在資格ではないため、国内で他のステータスに変更することができない。

●初回申請時の取得条件

  1. 申請者はスタートアップ企業(以下「申請企業」)の株を初回申請時に最低10%保持している

  2. 申請企業は申請直前5年以内に創立されたものである

  3. 申請者は申請企業での実務に携わっている(株のみ保有する投資家では申請不可)

  4. 以下のa,b,cのうちいずれかを証明できる

    1. 申請前18か月以内に最低$250,000の投資を「実績のある投資家」から受けている。「実績のある投資家」とは以下の条件を全て満たす投資家である。

i. 米国市民、米国永住権保持者、或いは米国企業(過半数の株主が米国市民或いは米国永住権保持者)(申請者とその家族からの直接的・間接的投資は不可)且つ

ii. 過去5年以内に最低$600,000をスタートアップ企業に投資した実績がある 且つ

iii. 投資先のスタートアップ企業のうち、最低2社が5人以上の従業員を雇っている、或いは年間総収入が$500,000以上で且つ年間収入伸び率が平均20%以上である

    1. 申請前18か月以内に最低$100,000の助成金を米国連邦政府、州、市などの政府機関から授与されている。

    2. 申請企業がアメリカに大きな利益をもたらす将来性

(例) i. ユーザーや顧客の数の多さ

ii. 相当な年商額

iii. 社会に与える影響や国益、地域に与える好影響

iv. 新しい投資募集方法による資金調達(例:クラウドファンディングなど)

v. 申請者の学歴、特許取得や起業会社での現地社員の雇用歴などに裏付けされた過去の起業歴

vi. 数々の起業家を輩出する名門インキュベーターなどへの参加

●Reparole(更新)の取得条件

初回申請時からさらなる成長の兆しがみられる起業家に対しさらに最長30か月の更新(Reparole)が許可される

  1. Reparole申請時に申請者が最低5%の株を保有している

  2. 申請者が引き続き申請企業の実務に携わっている

  3. 以下のa,b,c,dのうちいずれかを証明できる

    1. 初回の30か月間に$500,000以上の追加投資または助成金を投資成功実績のある投資家もしくは米国政府(連邦、州政府など)から授与されている。(追加投資と政府助成金は組み合わせで$500,000以上でも可)

    2. 初回30か月間に申請企業が$500,000以上の年間総収入を上げており、かつ年間収入伸び率が平均20%以上である

    3. 初回30か月間に5人のフルタイム雇用をする

    4. 申請企業が米国に大きな社会的利益をもたらす将来性と、急成長また雇用の拡大を見込める証拠がある

●申請手続きの流れ

既に米国にいる場合:

  1. 移民局へ申請書I-941を提出 (扶養家族はI-131 Advance Paroleを申請)

  2. Application Support Centerにて指紋採取後、I-941の許可書発行

  3. 米国を離れ、大使館・領事館で渡航許可証(Boarding foilなど)を申請

  4. 渡米 (渡米後の海外渡航も可能)

米国外にいる場合:

  1. 移民局へ申請書I-941を提出(扶養家族はI-131 Advance Paroleを申請)

  2. I-941許可後、在外大使館・領事館で渡航許可証(Boarding foilなど)の発行を受ける際に指紋採取

  3. 渡米 (渡米後の海外渡航も可能)

●注意点

  • Parole期間の後、米国内で他の移民・非移民ステータスに切り替えができないため、切り替えをするためには必ず一度米国出国し適当なビザを取得し再入国する必要がある。

  • 滞在中海外渡航をする場合は事前に渡航許可証を申請する必要がある。

  • 滞在中家族の合計収入が米国政府が定める貧困ガイドラインの400%を満たす必要がある。2016年のガイドラインによると、2人家族の場合約$64,000以上を維持し続ける必要がある。