【米国政府情報】米国国土安全保障省DHS最終規則によるF-1(留学)ビザの在留制度改正 ―「Duration of Status」から期限付き在留へ
July 24, 2026 (Friday)
米国国土安全保障省(DHS)は、2026年7月17日、留学生(F)、交流訪問者(J)および外国報道関係者(I)の在留制度を抜本的に改める最終規則を公示しました。施行予定日は2026年9月15日(注1)です。
本規則の中心となる変更は、具体的な在留期限を設けない従来の「在留資格の継続(Duration of Status/D/S)」を廃止し、I-94(米国への入国時に発行され、在留資格や滞在期限が記録される出入国記録)に具体的な在留期限を記載する「固定在留期間」制へ移行することです。
従来は、学校の担当者と必要な手続きを行い、I-20(F-1留学生としての在籍資格を証明し、課程修了予定日が記載された書類)を有効に維持している限り、転校後やOPT期間中も、原則としてUSCIS(U.S. Citizenship and Immigration Services/米国移民局)へ在留期間延長を申請することなく、滞在を継続することができました。また、課程またはOPTの終了後には、60日間の出国猶予期間が認められていました。
改正後、F-1留学生の就学に基づく在留期間は、原則として、I-20に記載されたプログラム期間または4年間のいずれか短い期間に限定され、出国猶予期間も60日から30日に短縮されます。
OPT・STEM OPT、4年を超えるプログラム、課程修了の遅延、転校または上位の教育レベルへの進学などにより、I-94上の在留期限を超えて米国内に滞在する場合は、在留期間延長申請か出国・再入国により新たなI-94の取得が必要となります。
また、転校、専攻・教育レベルの変更、同一または下位の教育レベルでの再就学、英語語学プログラムの在籍期間などについても、従来より厳しい制限が設けられます。
(注1)本規則の施行予定日は2026年9月15日です。本規則は議会審査の対象となるため、今後、施行日その他の内容が変更される可能性があります。
1. 主要変更点の比較
2. 固定在留期間と出国猶予期間
新制度では、F-1留学生のI-94に具体的な在留期限が記載されます。就学に基づく在留期間は、次のいずれか短い期間です。
I-20に記載されたプログラム終了日まで
入国または在留資格付与から4年間
これに加えて、30日間の出国猶予期間が認められます。
入国は、プログラム開始日の最大30日前から認められます。なお、開始前の30日間および終了後の30日間は、プログラム期間に対する4年間の上限には算入されません。
例えば、I-20上の課程期間が2年間である場合は、そのプログラム終了日に紐づいた在留期限が設定されます。一方、修了までに5年を要する博士課程であっても、最初に認められる在留期間は最長4年間になるため、それを超えて就学を継続するためには、期限前に在留期間延長の手続きを行う必要があります。
3. 卒業後OPT/STEM OPT
卒業後OPTおよびSTEM OPTは、I-20に記載された課程期間に含まれません。I-94は課程期間のプログラム終了日に紐づくため、最初に就学目的で付与されたI-94上の在留期限に、将来のOPTまたはSTEM OPT期間は自動的に含まれません。
OPTまたはSTEM OPTを行うために、現在のI-94上の在留期限を超えて米国内に滞在する必要がある場合は、次のいずれかの手続きが必要となります。
EAD申請と併せて、在留期間延長申請を行う
EAD申請後に出国し、OPT/STEM OPT期間に紐づく新たなI-94を取得(EAD申請中に再入国する場合でもI-20上のDSOによる推奨就労終了日に紐づくI-94が付与される)
※施行日時点でD/Sを維持している場合、後記「4.経過措置」に記載する特例が適用される可能性があります。
4. 経過措置
新制度では、OPT・STEM OPTの期間は当初の固定在留期間に含まれません。ただし、施行日時点でD/Sを有効に維持し、OPT・STEM OPTの申請要件を満たしており、かつ、規則施行後に出国・再入国していない方は、2027年3月18日までにOPT・STEM OPTに基づくEAD申請(I-765)を行うことにより、別途、在留期間延長申請(I-539)を行うことなく、EADの有効期限後60日まで滞在することが認められます。
4-1. 対象者と基本的な取り扱い
施行予定日である2026年9月15日時点で、I-94上の滞在期間がD/Sとなっている方には、経過措置が適用されます。
経過措置の対象者は、施行日に直ちに新たな日付入りのI-94を取得したり、固定在留期間への変更手続きを行ったりする必要はありません。施行後も米国内に滞在し、F-1の要件を継続して満たしている限り、経過措置に基づき一定期間滞在を継続することができます。
ただし、経過措置は従来のD/Sを無期限に継続させるものではありません。経過措置による在留可能期間は次の期限を基準として判断されます。
施行日時点で有効なI-20に記載された課程期間のプログラム終了日(最長4年)
OPT/STEM OPTの就労許可がある場合は、EADに記載された就労許可終了日(最長4年)
実際の在留可能期間は、施行日に有効なI-20またはEAD上の期限を基準とし、施行日から4年間という上限を超えることはできません。その後も就学またはOPT/STEM OPTを継続する場合は、必要に応じて、在留期間延長申請か出国・再入国手続きを行う必要があります。
また、経過措置の対象者には、従来どおり60日間の出国猶予期間が認められます。
※ただし、上記措置により認められた在留期間中に出国した場合には、後記「4-4施行後に出国・再入国した場合」の記載通り、新制度に基づくI-94が付与されます。
4-2. OPT・STEM OPT申請に関する経過措置
新制度では、OPT・STEM OPTの期間は、当初の課程期間に基づく固定在留期間には含まれません。このため、新制度の下でOPT・STEM OPTを行うためには、EAD申請に加えて、在留期間延長申請を行うか、または出国・再入国により新たなI-94を取得する必要があります。
ただし、次の要件を満たす場合は、経過措置として在留期間延長手続きが免除されます。
規則施行予定日である2026年9月15日時点で、D/Sにより在留資格を維持していること
規則施行後に米国を出国しないこと
OPTまたはSTEM OPTに基づくEAD申請が、2026年9月15日時点で申請中、または2027年3月18日までに申請を行うこと
これらの要件を満たす場合は、在留期間延長申請や、出国・再入国により新たなI-94を取得せずとも、OPTまたはSTEM OPTに必要な在留期間を確保することができます。
4-3. 施行後に出国・再入国した場合
経過措置の対象者であっても、2026年9月15日以降に米国を出国した場合は、再入国時から新しい固定在留期間制度が適用されます。
再入国後のI-94には具体的な在留期限が記載され、課程またはOPT/STEM OPT終了後の出国猶予期間も30日となります。
OPTまたはSTEM OPTのEAD申請を提出する前に出国・再入国した場合は、「4-2 OPT・STEM OPT申請に関する経過措置」の免除対象になりません。この場合、OPTまたはSTEM OPTの期間が現在のI-94上の在留期限を超える場合は、再入国後にEAD申請と在留期間延長申請の双方を提出するか、EAD申請後の再入国によりOPT/STEM OPT期間をカバーするI-94を取得する必要があります。
5. 在留期間延長要件
新制度においては、次のような場合に、在留期間延長申請または出国・再入国による新たな I-94の取得が必要となることが想定されます。
課程修了までに4年を超えるプログラムを継続する場合
病気、災害その他の事情により、課程期間内に課程を修了できない場合
OPTまたはSTEM OPTに基づき就労する場合
上位の教育レベルへ進学する場合
転校またはプログラム変更により、追加の在留期間が必要となる場合
この場合、在留延長申請を行うか、出国・再入国により新たなI-94を取得する必要があります。ただし、最初に発行されたI-20に記載された当初の課程修了予定日までにプログラムを修了できず、引き続き就学するために在留期間延長を申請する場合は、遅延が本人の責めに帰さない事情によることを証明する必要があります。
認められ得る事情には、次のようなものがあります。
研究資金の予期しない遅延
医師の診断書により証明される病気または健康上の事情
自然災害
国家規模の公衆衛生上の危機
学校の閉鎖
その他、本人の合理的な管理を超える事情
一方、停学、退学、学業上の不成績または本人の都合のみによる遅延は、原則として在留期間延長の理由とは認められません。そのため、新制度の下では、課程修了に向けて継続的かつ良好な学業上の進捗を維持することが、これまで以上に重要となります。
6. 転校・専攻・教育レベルの変更
本規則は、在留期間だけでなく、F-1留学生が学業課程を変更することについても新たな制限を設けます。
大学院未満
大学院未満の学生については、最初の学年を修了するまで、次の変更が認められません。
他校への転校
専攻の変更
教育レベルの変更
大学院レベル
大学院レベルでは、プログラム期間中の専攻または教育レベルの変更は、原則として認められません。転校についても制限されますが、やむを得ない事情がある場合には、個別に例外が認められる可能性があります。
大学院レベルでの進路変更は、大学院未満の場合よりも厳しく制限されるため、入学前に専攻および研究目的を慎重に検討する必要があります。
上位の教育レベルへの進学
更に、学士課程から修士課程、修士課程から博士課程など、より上位の教育レベルへの進学は認められますが、2026年9月15日以降に特定の教育レベルの課程を修了した方は、原則として、同一または下位の教育レベルの課程について、新たにF-1の在留資格を取得・維持することができません。例えば、施行日以降に修士課程を修了した方が、別の修士課程または学士課程にF-1で進学することは、認められません。一方、修士課程修了後に博士課程へ進学するなど、上位の教育レベルへの進学は認められます。
7. 英語語学プログラム
語学学校での就学等、英語語学プログラムのみを受講するF-1留学生の在留期間は、原則として通算24か月までに制限されます。この24か月には、通常、学校の休暇期間およびプログラム間の休止期間も含まれます。
8. まとめ
今回の改正により、F-1留学生の在留管理は、従来のD/Sを前提とした制度から、I-94に記載された具体的な在留期限を基準とする制度へ大きく変わります。今後は、次の3つの期限をそれぞれ区別して確認する必要があります。これらの日付は、必ずしも一致するとは限りません。
1. I-20上のプログラム終了日
2. EAD上の就労許可終了日
3. I-94上の在留期限
F-1留学生は、就学中であれば I-20、OPT・STEM OPT中であればEADが有効であることに加え、I-94上の在留期限が、その時点の就学または就労期間を適切にカバーしていることを確認する必要があります。I-94上の在留期限が必要な期間をカバーしていない場合は、期限が到来する前に、在留期間延長申請を行うか、出国・再入国により新たなI-94を取得するなど、適切な対応を計画する必要があります。
I-94上の在留期限を超えて滞在した場合は、不法滞在日数が累積します。不法滞在が180日以上1年未満に及んだ後に出国した場合は3年間、1年以上に及んだ後に出国した場合は10年間、米国への再入国が原則として禁止される可能性があります。
このように、本改正は、F-1留学生の就学、OPT・STEM OPT、進学および渡航の計画に重大な影響を及ぼす変更です。I-20やEADが有効であることのみで判断せず、I-94上の在留期限も継続的に確認し、将来の予定を見据えて余裕をもって必要な手続きを進めることが、これまで以上に重要となります。
9. 用語集
出典/Sources
免責事項:本稿は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に対する法的助言を構成するものではありません。具体的な状況については、弁護士にご相談ください。
パートナー弁護士
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ミシガン大学ロースクール卒業。在学中は同ロースクールの国際法学雑誌でマネージング・エグゼクティブ・エディターを務め、米国連邦第六巡回区控訴裁判所の裁判官のもとで法務経験を積む。日本、南米、米国で移民として育った経験と語学力を活かし、日本企業向けの移民法務に従事。 企業クライアント向けに、就労ビザ、研修ビザ、出張ビザ、永住権申請に関する手続きやコンプライアンスのアドバイザリーを提供するほか、実業家、アスリート、アーティストなど個人のビザ申請や永住権取得を支援するなど幅広い分野で法務支援を展開している。米国移民政策の動向に関する記事を各種ウェブマガジンに定期的に寄稿し、日系企業向けセミナーでの講演活動も継続的に行っている。