【配偶者ビザ】結婚してもビザが取れない⁉これから結婚する駐在員が気をつけるべきポイント
December 20, 2024
在米中の駐在員の方から結婚のご連絡をいただくことがあります。おめでたいご報告なのですが、残念ながら中にはすぐに配偶者ビザを取得できないケースがあります。この記事では、そのような事態を回避するためのポイントを解説します。
日米の婚姻の条件には違いがある
米国では、結婚後に夫婦が共に過ごしていない(夫または妻が1人で婚姻届けを提出し、その後対面していない)と、正式な婚姻関係にあるとは見なされません。このような結婚はProxy Marriage(代理の結婚)と呼ばれます。
日本の婚姻は、夫婦揃って婚姻届けを提出しなくても、別居状態でも成立するのが米国との最大の違いです。
例えば、自分が米国にいる間に、日本にいる恋人が婚姻届けを提出した場合はProxy Marriageにあたります。正式な婚姻関係とは見なされないため、この時点では配偶者ビザは申請できません。
Proxy Marriageを回避する方法
上記のとおり、米国の法律で重視されるのは、結婚後に夫婦が共に過ごしているかどうかです。
これから結婚される方は、赴任前や一時帰国で日本にいる間に婚姻届けの提出を済ませましょう。恋人が留学生など米国にいる方の場合は、お相手の帰国前に米国で結婚するのも一つの方法です(結婚の可否は州ごとに条件が異なります)。
米国移民法上の婚姻の条件は1日でも夫婦が共に過ごせば満たすことができます。実際に同居したり婚姻届けを一緒に提出する必要はありませんが、違う国にいると対面していないことが明白になるため、配偶者ビザの申請ができなくなります。
Proxy Marriageをした場合の対応方法
すでにProxy Marriageが成立してしまった場合、配偶者を呼び寄せる方法は主に3種類あります。
駐在員が一時帰国をしてから配偶者ビザを申請する
日本で夫婦が共に過ごした事実を作る方法です。駐在員が日本にいる証拠(米国の出国記録やパスポートの日本入国スタンプ)が用意でき次第、すぐに配偶者ビザを申請することができます。
配偶者が米国に一時渡航をしてから配偶者ビザを申請する
米国で夫婦が共に過ごした事実を作る方法です。配偶者がESTA(ビザなし)で米国を訪れ、日本に帰国してから配偶者ビザを申請します。注意点としては、入国審査で訪米目的を配偶者に会うためと説明すると、長期滞在の疑いをかけられる可能性があります。帰国便のチケットがあることや、短期的な訪問であることを説明できるよう、事前に準備しておきましょう。なお、噓の訪米目的を言うのは虚偽申告にあたるため、入国拒否のリスクにつながります。
配偶者がB2ビザで渡米し、米国内で配偶者ステータスに変更する
B2観光ビザには、Proxy Marriageをした配偶者用の申請カテゴリーがあります。日本の米国大使館/領事館でB2ビザを取得し、渡米してから米国内の移民局に配偶者ステータスへの変更申請を提出します。変更申請が許可されれば、駐在員と同じ期限まで滞在できるようになり、就学や就労も認められます。
しかし、一度出国すると再入国には配偶者ビザが必要になるため、再び日本の米国大使館/領事館でビザ面接を受ける必要が生じます。つまり、手続きは3段階(B2ビザ申請、配偶者ステータスへの変更申請、配偶者ビザ申請)にわたり、その分の負担や費用が発生します。さらに、配偶者ステータスへの変更申請は審査に数か月を要する場合があり、その間は免許証の取得や就労ができず、生活に支障をきたす可能性があります。このため、上記の1または2の選択肢で配偶者ビザを申請されることを推奨しております。